100万札ノート/メモ帳/ふせん

100万円札を100万円以外で出品する選択肢は私には無かっただろう。

あの日に私が手にした100万円札は今も私を苦しめる。

100万円の価値もあるわけがないだろう事は私にも分かっている。

だがもし適正な価格を付ける為に100万円から値引きしたとすれば表紙にある100万円札という印刷に偽りが出てしまうのだ。

ここまでの人生真っ当に生きて来た私には世間を欺き嘘偽りで値段提示するなど出来るわけがない。

もしも世間や人を欺き心を闇に染めてしまうのならば自責の念に苛まれ私は業火に身を委ねるだろう。

そうならない為にも100万円と言うお金について考えてみてもいいだろう。

私は毎朝仕事の前にコンビニの100円のコーヒーを買っては朝の一時を楽しんでいるのだが、もしも100万円を100円のコーヒーに全て注ぎ込んだ時におおよそ1万杯のコーヒーが頂けたるのだ。

365日毎朝コーヒーを買ったとして100万円使いきるのに27年と145日と言う膨大な時間を要するのだ。

27年と145日も有れば今は幼い私の子供達は旅立ち私は一体どう言う生活をしているのだろう？

ふとここで私は気付いてしまったのだ。

もしやこの100万円は27年と145日先の自分から今の私に向けたメッセージなのではないのかと。

仕事に悩んだり子育てに悩んだり先の見え無い将来に悩んでみたり。生きると言うだけでいつも不安と隣合わせになっている事も事実だろう。

だけど毎朝100円のコーヒーから始まりコツコツ毎日を努力すれば必ず27年と145日先の未来に必ず辿りつけるのだ。

だからこそ嫌な事があってもめげずに腐らずコツコツ頑張り続けろと27年と145日先の自分が言っているのだろう。

そして私は未来の私からのメッセージを受け止めて決意する。

メモ帳を100万円で出品してやると。